自由雲台のカメラを取り付けるクランプ部分は、ノブ式クランプが一般的です。
特に不自由は無く使えるものですが、手袋をした状態だったり、急いでカメラの付替えをしたい場合などはノブをクルクル回す作業が上手く出来なかったり、時間が掛かったりして煩わしさを感じてしまうこともあります。
そんな時に便利なのがレバー式のクランプです。
レバー式のクランプだとクランプの開閉がレバーで出来てしまうので雲台から素早くカメラ着脱することができるようになります。
もちろんノブ式とレバー式で一長一短はありますが、一度でもレバークランプを使用するとノブ式だと面倒に感じるくらいに快適になるので、クランプをレバー式に交換する人も多いです。
今回、僕も自由雲台のクランプをノブ式からレバー式に交換してみたので、クランプの交換方法などについてまとめてみました。
Leofoto レバークランプ
レバークランプ交換パーツ Leofoto PCL-60+NP60
ノブ式のクランプの自由雲台をレバークランプに変更するためのパーツがあります。
例えばLeofotoにはPCL-60+NP60というレバークランプがあり、別売で売られています。このレバー式クランプを既存のノブ式のクランプと入れ替えることでレバークランプの自由雲台にすることができるというわけです。
クランプがクイックリリースになっていて、レバーを起こすとクランプが開放されてカメラを着脱できるようになります。カメラを固定する場合は再びレバーを倒せばクランプが締まってカメラが固定される、ノブ式に比べて素早くカメラが着脱できるようになります。
レバークランプの注意点
クランプの動きが制限されるための問題
レバー式のクランプと言えばReally Right Stuff(RRS)が有名ですが、レバー式クランプの欠点として、レバーの開閉でクランプが動くため、クランプの動き幅が決まってしまいます。
そのため同じ規格で製造されたプレートであれば問題なく使用することができますが、メーカーが異なると微妙にサイズが違ってしまい、結果としてレバーを締め込んでもプレートがユルユルだったり、逆にプレートの幅が広すぎてレバーを締め込めないなどの問題が出る場合があります。
そんなわけでRRSのレバークランプなどのように調整機能の無いレバークランプを使用する場合は同一メーカーのプレートを使用するのがベストということになるかと思います。
Leofotoのレバークランプは調整機能がある
今回使用するLeofotoのレバークランプ交換パーツ Leofoto PCL-60+NP60は、レバーの根元に調整用のボルトがあり、このボルトを緩めたり締めたりしてレバークランプの動きを調整することができます。
この調整機構によって、メーカーやサイズが多少違っていたとしても問題なく使用できるようになります。このあたりは後発メーカーならではの工夫が見られる点です。
ただし、裏を返せば、「調整が出来る」ということは「ズレることもある」ということなので、時々調整をしてあげる必要があるでしょう。調整機構の有る無しのどちらが良いかは人ぞれぞれというところになるかと思います。
レバークランプへの交換方法(クランプ部分の交換)
クランプ部分の交換はよく行われるカスタマイズ
自由雲台のクランプ部分の交換はよく行われるカスタマイズです。
例えば雲台自体は気に入って使っているけれど、クランプ部分が気に入らないので使い勝手の良いクランプに交換することで使い勝手を向上させるという感じです。
クランプ部分と雲台はボルトで固定されているのでこのボルトを取り外せばクランプ部分と本体とを分解することができます。このボルトは基本的にメーカーが違っても同じ規格のようなので、大抵の場合はメーカー違いでも組み合わせることができると思います。
今回、クランプ部分の交換をする自由雲台としてLeofotoのNB-46を使用していますが、クランプ部分は上記の写真のように、クランプの中央部分の六角ネジで本体と固定されています。このネジを外せばクランプ部分を交換出来るというわけです。
Leofoto 自由雲台 NB-46
ちなみにLeofotoの自由雲台NB-46の現行品のクランプはノブ式のパンニングクランプが採用されていますが、僕の所有しているNB-46は海外から個人輸入したものになり、クランプ部分がスクウェアタイプのパンニング無しのタイプです。
このクランプが不便なのでレバークランプに変更して便利にしようというのが今回のカスタマイズです。
Leofotoの自由雲台NB-46はフリクション機能を備えた自由雲台で耐荷重量も20kg超えでなかなか使い勝手の良い雲台です。下記に詳細をレビューしていますので参考にしてください。
重要! 作業の前の注意事項
早速、クランプ部分の交換に取り掛かりたいと思いますが、その前に注意事項があります。外箱には下記のような注意書きが添付されています。
ご注意!
お手持ちのLeofoto製雲台のクイックリリースクランプを固定しているネジの「ネジロック剤」を外さなければ本製品をとりつけることはできません。付け替えは下記までお申込みください。なお、付け替えは正規輸入品のみ受付しております。
この注意書きを見つけた瞬間「おや?やっちまったか?」と思いましたが、もともと雲台本体は正規輸入品ではなくサポート外なので「そんなの関係ねぇ」の精神で作業を先に進めたいと思います。
ちょっとビビってしまうような注意書きではありますが、基本的には自分でできるような作業なので正規輸入品であっても自分自身で作業してしまう人も多いかと思います。
ただし、自分自身で作業をしてしまうとメーカー保障が切れる可能性もあるので、正規輸入品を購入された方は交換を申し込みするのが無難かもしれません。
ちなみに僕はLeofotoの製品は海外から個人輸入した方が安い場合が多いのです基本的に海外から購入することが多いです。
しかし、元から価格が安い小物やパーツ類は国内から購入してもポイントや送料などを考えると大きな違いが出ない場合が多いのでレバークランプは国内販売店から購入した次第です。
クランプを固定しているネジを外す
クランプの交換はクランプを固定しているネジを外して付け替えるだけなので、作業的には難しいことは一切ありません。
ただし、この手のカスタマイズ作業には必ず落とし穴がが存在します。個人的にはカメラ機材意外にも色々とカスタマイズすることがありますが、簡単そうに見える作業でも、思わぬところで躓いてしまうことが多いです。
そんなわけで、自身で作業を行う場合には、それなりのトラブルがあることを覚悟して臨んだほうが良いでしょう。そうでないと、途中で壁にぶつかってしまい「お店に頼んでおけば良かった」などという後悔をしてしまうことになります。
ネジロックが固い
上記の注意書きにもあった「ネジロック」は、その名前の通りに、ネジを固定(ロック)するためのものです。
ネジロックをご存知ない方のために一応説明をしておくと、ナイロンのようなものがネジ部に塗布されていて、ネジの隙間を埋めることでネジの緩みを防止するためのものです。
例えば、振動の多い場所で使用するような場所でネジが使用されていると、振動によって徐々にネジが緩んで脱落してしまうという問題が発生します。そこでネジロックを塗布したネジを使用することでネジの緩みを防止して脱落を防ぐことができるというわけです。
ネジをネジ穴に固着させて緩みを防止するためのものなので、裏を返せばネジロックの付いたネジを取り付けてしまうと外すのが大変ということでもあります。
付属の六角レンチでは恐らく外せない
六角ネジを外すための工具として六角レンチが同梱されています(上記写真のシルバーの工具)。しかしとても短いためトルクがかけられないので、よほど握力が強力な人でなければ、この六角レンチでネジロックが施されたネジを外すのは困難かと思います。
僕はこの六角レンチを見た瞬間に「無理だ」と判断して、個人的に所有している柄の長い六角レンチ(上記写真の黄色の工具)を使用しました。柄が長い方がトルクをかけやすくなるので固く固着したネジでも外しやすくなります。
ちなみに使用したのはPB SWISS TOOLS(ピービー スイスツール)という、工具系では定評のあるメーカーの六角レンチです。どれも同じように見える六角レンチですが、評判の良いメーカーは工具としての精度が高いだけでなく、持ちやすさなど非常に使い勝手が良いのでおすすめです。
特に、今回の作業のように力が必要な作業の場合、安い工具だと破断してしまったり、精度が悪くてネジ穴をナメてしまうなど余計なトラブルを招くことにもなるので、PB SWISS TOOLSやWERAなどの有名なメーカーの工具を使用するのが安心です。
早速、ネジを外そうと試みましたが、確かに相当な固さです。
「グググッ」と思い切り力を入れて回そうとしても動きません。
六角レンチの端の方を持ってトルクをかけようとすると、六角レンチがしなるのが感じ取れて躊躇してしまいます。トルクをかけようと端の方を持つと六角レンチを壊してしまいそうだったので、なるべく六角レンチのしなりが少なくなるように手のひらで六角レンチ全体を包むように持ち替えて再チャレンジ。
「駄目かな」と諦めそうになる自分もいましたが、何度かチャレンジすることで無事にネジを回すことができました。
クランプの交換
クランプ部分を取り外した自由雲台は上記の写真のような感じで「首なし」になります。ネジ穴付近に青く見えるのはネジロックの残りです。
あとは、クランプをレバークランプに差し替えてガタが無いようにしっかりとネジを締め込めば作業は完了です。
ネジを締める際にはネジロックは不要かと思いますが、不安な人はネジロック剤(ロックタイト)だけが販売されているので、そちらを購入してボルトに塗布してから締め込めば良いと思います。
このように、クランプ部分の交換は、ネジを緩める部分さえクリアできれば非常に簡単に交換することができます。
しかし、上にも書いたように、このような単純な作業でも、問題が発生する場合があります。今回の作業でも例外なく問題が発生しましたので下記に今回の作業の中で出た問題と対処法をまとめてみました。
クランプの交換で発生した問題
首なしの雲台のネジ穴の位置
首なしの自由雲台をチェックして気がついたのがネジ穴の位置です。
ネジ穴の位置が目視で判るレベルで中央からズレてます。1mmくらいはズレていそうです。ちょっと愕然。
撮影には影響は出ないでしょうが残念な部分ですね。
このあたりはネジ穴を開ける作業を行う人で個体差が出そうなので、きちんと中央に空けられているものもあるかと思いますが、このような見えない部分で適当になってしまうのが、いかにも中国製品というところかと思います。
クランプ取り付けのオスメスが合わない
今回の作業の中で最も大きな問題だったのが、雲台本体とクランプのオスメスが合わないという問題です。
ボールヘッドの突起部分の先端は出っ張りがありオスの役割をするようになっていて、クランプの裏側には溝が掘られていてメスの役割をするようになっています。
このオスとメスが組み合わさってクランプが無駄に回転してしまわないようにしているわけですが、何度やって組み合わせることが出来ないのです。向きを変えるなど何度もトライしてみましたが無理でした。
結論として「オスの幅がメスの溝よりも広いため組み合わせることが出来ない」ということだろうと思います。
もしかしたら「知恵の輪」的なハメ方をするとスポッと組み合わせることが出来るのかもしれませんが、とりあえず裏面を傷だらけにしつつもトライしてみた結果として「サイズが違う」という判断になりました。
おそらくこれも個体差があるかと思いますし、自由雲台の種類によっては問題が無い場合もあるかと思います。
オス部分を削る
クランプ部分と本体の組み合わせ出来ないと言っても、ほんの少し削れば組み合わせできそうなレベルだったので、オス部分をヤスリでゴリゴリと削って対応することにしました。
完全に自己責任の作業になるので、このようなトラブルを避けるために神経質な人は正規輸入品を購入して作業自体を販売元にお願いするのが良いと思います。
僕はあまり気にしないタイプなので、自己責任でそのまま作業をゴリゴリ進めます。クランプを取り付けてしまえば見えなくなる部分でもあるので、多少傷が付いても気にしません。気になる方は精密機器用の目の細かいヤスリを使用すると良いかと思います。
左右均等に少しずつ削って、クランプと組み合わせて具合を調整すること数度。とりあえず無事にオスメスを組み付けることができました。削って傷ついた部分も組み付ければ隠れてしまうのでヨシ。
作業してみて分かったんですが、このボールヘッドは非常に傷つきやすいですね。ちょっとでも金属が当たると容易に傷つくのと、削った金属片がボール部分落ちるので、作業前にはボールヘッドの周りはテープなどでマスキングしておきましょう。
まぁ普通は必要のない作業だとは思いますが万が一同様の作業が必要になった場合には留意しておくと良いでしょう。
雲台のクランプをレバークランプへの変更まとめ
本来ならオリジナルのクランプ部分のネジを外して新しいクランプに取り替えてネジを締めればそれで終了するはずの作業でしたが、思わぬ落とし穴があって少しだけ焦りました。それでも無事にクランプをレバークランプに変更できました。
スムーズに作業が進めば5分程度で終わってしまう作業ですからノブ式のクランプでストレスを感じている方はレバー式クランプへの交換を考えてみるとストレスが改善されるかもしれません。
今回クランプ部分を交換したLeofotoの自由雲台NB-46は、本来の流通品であればノブ式のパンニングクランプが備わっているはずなので、もう少し便利に使用できたはずなのですが、僕が個人輸入で購入したNB-46はスクエアタイプのパンニング無しのクランプが備わっていたので、少々使い勝手が悪いものでした。
そこで、クランプをパンニングクランプに交換して使い勝手をよくしようと考えクランプの交換をした次第です。
Leofotoの交換用のパンニングクランプにはノブ式のパンニングクランプ(RH-2L+NP-60 / RH-1L+NP-50 / RH-0+NP-50)とレバー式クランプ(PCL-60+NP-60)があります。
ノブ式のクランプのほうが数千円安いのですが、どうせならということでパンニングクランプを選択しましたが、ノブ式のクランプであったとしても作業内容に違いはありません。
結果として非常に着脱がスムーズに行え、クランプの交換前と比べて非常に快適に撮影できるようになり大変良かったと思います。
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