中国のカメラアクセサリーメーカーのLeofoto(レオフォト)のギア雲台G4を購入したのでレビューします。
Leofoto(レオフォト)は数ある中国系のカメラアクセサリーメーカーの中で、高品質なカーボン三脚や雲台を販売して高い評価を得ているメーカーです。
このLeofoto(レオフォト)のギア雲台G4も発売当初から評判が良く、あまり量産されなかったせいもあって、入荷されてもすぐに品切れになるなど、評判の良いギア雲台でしたが、購入して実際に使用してみると「なるほどこれは良い雲台だ」と思えるものでした。
ギア雲台とは
微妙な角度調整が必要な撮影で圧倒的に便利
ギア雲台とはその名の通りギアで動かすことができる雲台です。
一般的な雲台は自由にヘッド部分を動かせる自由雲台かと思いますが、自由雲台は大雑把な調整は素早く簡単にできるものの、微妙な位置調整が難しいという問題があります。
例えば、重量のある望遠レンズを取り付けたカメラの場合、自由雲台で角度を調整しても、カメラから手を離した瞬間に角度がズレてしまって、なかなか思い通りの角度に調整することができません。望遠レンズなどはほんの少しの動きでも大きくズレてしまうのです。
さらに、雲台のロックを解除した瞬間に頭が「カクン!」と傾いてしまって危ないなどの問題もあります。一部のトルク調整機構の備わった自由雲台(LeofotoならLH-36やLH-40、LH-55、その原型とも言えるRRSのBH-55など)であれば、ロックを解除しても「カクン!」としないものもありますが、いずれにしても細かな位置調整が難しいのが一般的な雲台の持つ問題です。
これらの自由雲台でありがちな悩みや問題を解決できるのがギア雲台なのです。
ギア雲台を使用すると、ギアで雲台を動かすため「カクン!」と傾いてしまうこともありませんし、自由雲台では難しい微妙な角度調整が一瞬で出来てしまうという夢の雲台なのです。
ギア雲台は大きさと価格が問題
ギア雲台は一度使い始めるとギア雲台無しでは撮影が面倒に感じてしまうようになるくらいのとても便利な雲台です。
なので、写真を撮影する人がみんな使っていても不思議ではないくらいなのですが、大きさと価格の問題があり導入するにはややハードルが高い道具になります。そのため雲台としてはちょっと特殊な雲台という位置づけになっているかと思います。
ギア雲台は大きい
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例えば最も手にしやすいギア雲台と言えばマンフロット製のギア雲台であるX-PROなどになると思いますが、その独特な形のため、どうしても雲台としては大きくなってしまいます。
スタジオなどで固定したままにしておくのであれば、それほど問題にはなりませんが、屋外撮影などになるとギア雲台の持ち運びで頭を悩ますことになります。
ギア雲台は価格が高い
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ギア雲台の代名詞的な製品がARCA-SWISS(アルカスイス)のD4 ギアヘッドというギア雲台です。
一流メーカーの製品だけあって、デザインも性能も良いだけでなく、コンパクトなサイズになっているので、ギア雲台にありがちな持ち運びに頭をやな安問題もクリアされている素晴らしい雲台です。
もしも僕が何も考えずに好きなギア雲台を選ぶのであれば、間違いなく候補に入れるギア雲台の一つです。
ただし、価格が約190,000円(個人輸入でも140,000円程度)となっていて、趣味のレベルではなかなか購入できるレベルの価格ではないというところが問題です。
で、そんなギア雲台にありがちな「デカい」「高い」という問題を見事にクリアしたのが、今回購入したLeofotoのギア雲台 G4になります。
Leofoto ギア雲台 G4
Leofoto ギア雲台 G4の全体像
ARCA-SWISSのD4 ギアヘッド風のギア雲台
Leofotoのギア雲台G4の見た目は上記のような感じです。
「おや?アルカスイスのD4にそっくりじゃないか!?」と思う人も多いかと思います。実際問題でLeofotoのG4はアルカスイスのD4を意識したデザインであることは、間違いないものと思われます。
このあたりは考え方として受け入れられない人も多いと思いますが、Leofotoの製品は有名メーカーの製品(GITZOやRRSやMARSACE)や売れている製品(PeakDesignやEdelkrone)によく似た製品を販売したりしています。このギア雲台G4もそんなソックリさん製品の一つですね。製品名もD4に対してG4ですからなかなか大胆です。
ソックリなギア雲台はLeofotoだけじゃない
余談ですが、その他の中国メーカーからもARCA-SWISSのD4 ギアヘッドによく似た雲台がいくつか登場しています。Sunwayfoto GH PROやBUDDIESMAN GH4と呼ばれるギア雲台がそれに該当します。
いずれも発売時期が近いことや見た目がソックリなことから、中国コミュニティーの中で何らかの漏洩もしくは繋がりがあるのではと思えてしまいます。
Leofotoのギア雲台G4スペック
高さ 108mm
ベース直径 60mm
マウントネジ 3/8"
耐荷重量 20kg
重量 690g
可動範囲 前後 -50度〜90度
可動範囲 左右 -45度~45度
Leofotoのギア雲台G4でスペック的に注目すべきなのは、高さ108mmというコンパクトなサイズでありながら耐荷重量が20kgということで、フルサイズカメラでも全く問題なく使用できるというところでしょう。
低価格&高品質なギア雲台
Leofotoのギア雲台G4の評価が高いのは、しっかりとした造りでありながらも、価格がARCA-SWISSのD4ギアヘッドに比べるとかなり安いというところにあります。
ARCA-SWISSのD4と比べて価格差以上にスペックに差があるかと言われると難しいところで、ブランドにこだわりがなければ格安なLeofotoのギア雲台でも十分に仕事をしてくれるんじゃないかと思います。
Leofotoのギア雲台のG4が安いと言っても、あくまでARCA-SWISSのD4などと比較して安いというだけのことであり、国内価格で650,000円以上、海外から個人輸入で購入しも50,000円程度なので、それなりの値段のする雲台ではあります。
ところで人件費が高騰する中国で未だに格安な製品ができる理由について、中国メーカーの高品質&低価格の事情について中国の写真系のフォーラムで語られているの確認すると下記のような情報がみつかったりします。
一昔前は技術的な問題で一流メーカーくらいしか精度の高い高品質の製品が製造できなかったそうですが、ここ数年でCNCマシーンなどの性能が大きく向上したおかげで、設備さえ整っていれば一流メーカーの製品と比べて遜色のない精度の製品を造れるようになったようです。
真偽は定かではありませんが、電子系の製品は未だに粗悪品が多い中で金属加工系の製品はいずれも品質が上がっているように感じているのは僕だけではないはずです。
Leofotoのギア雲台G4はそんな最近の中国製品の状況を代表するような製品とも言えるかもしれません。
Leofotoのギア雲台G4の可動範囲
前後の可動範囲
前方
Leofotoのギア雲台G4の前方への可動範囲は後方に比べてかなり動かせます。カメラを載せた状態で考えると真下以上まで動かせます。実際にはここまで動かすことはほとんどないでしょうが、よく動く雲台です。
後方
Leofotoのギア雲台G4の後方の可動範囲はこれくらいです。前方への可動範囲に比べると角度は少なくなっていますが、後方にカメラを傾けることはあまり無いと思うので問題ないでしょう。
左右の可動範囲
Leofotoのギア雲台G4の左右の可動範囲はいずれも同じ程度です。
問題は上の写真でも理解していただけると思いますが、ヘッドを傾けるとパンニングクランプのノブやレバーが雲台本体と干渉してしまいます。
そのため上の写真ではパンニングクランプを少し回転させていますが、カメラを載せた状態だとカメラがあらぬ方向を向いてしまいます。このあたりの使い勝手を考えるとクイックリリース式のレバークランプに変更した方がストレスが少なそうです。
Leofoto ギア雲台の細部確認
Leofotoのギア雲台G4の見た目からして、中国製品らしからぬしっかりした造りだと感じさせるLeofotoのギア雲台G4の細部を確認してみましょう。マクロレンズで拡大してみても、粗さをほとんど感じさせません。
角度調整用ノブ
Leofotoのギア雲台G4の角度調節は丸いノブを回転させることでできます。左右に傾けるためのノブと前後に傾けるためのノブの2つがあり、いずれも大きさとデザインは同じです。
細かな平目ローレット加工が非常に美しくて高級感のあるノブです。
回転防止レバー
Leofotoのギア雲台G4にはレバーが4つ付属しています。
大きな2つのレバーは、雲台をロックしてギアを有効にするためのもので、小さなレバー2つはパンニング部分のをロックするためのものです。
Leofotoの製品全般に採用されているレバーの角度調整機構。
レバーが干渉してしまった場合にレバーを引くことでレバーの角度を変えられるというもの。地味な機構ですが意外とよく使います。パンニング用のレバーに採用されています。
ヘッド部分
Leofotoのギア雲台G4のヘッド部分にはRH-2L+P60が使用されています。上記の写真ではNP-60のプレートは外した状態ですが製品には付属しています。
ヘッド部分は六角レンチで固定されているので、例えばクイックリリース式のレバークランプPCL-60+NP-60に交換することも可能です。
その他の部位
Leofotoのギア雲台G4は全体的に見ても丁寧に角が取られていて美しいです。
ボトム部分の正面側にはLeofotoの刻印とG4の文字。
目盛りの数字も判読しやすいフォントです。
雲台部分の前後左右の可動部にも刻印がされています。
指標部分が●なのはARCA-SWISSのギア雲台と同じです。
大きさ比較
Leofotoのギア雲台G4とLeofotoのギア雲台のG2との大きさの比較。G2はボールヘッド雲台のLH-40と合体させています。
Leofoto G4およびG2ともにボトムのサイズは直径60mmです。
Leofoto G4とボールヘッド雲台LH-40PLCとの比較です。
こうしてみると通常の自由雲台と比べてもそれほど大きさは変わらないですね。
Leofoto ギア雲台G4の使用レビュー
物撮りや風景撮影の構図調整が非常に便利
一般的な自由雲台を使用して小さな物を撮影するような物撮りの場合だと、画面の中央に寄せることがなかなか出来なくて苦労することが多いと思います。
また望遠レンズで月などを撮影しようとした場合にも画面の中央に寄せることが非常に難しかったりします。
「よし!真ん中にきた!」と思って自由雲台をロックしても、カメラから手を話すと、どうしてもズレてしまうのですよね。
実際問題でこのG4雲台を撮影している時も換算110mmのレンズで撮影していたわけですが、同様の問題でフレーミングに非常に苦労してしまいました。
ギア雲台さえあれば、このようなイライラが無くなるわけで、目の前にギア雲台があるのに使えない状態で非常にもどかしかったです(笑)
上記の動画は全くフレーミングが出来ていない状態からギア雲台を使用して画角を調整してみたところです。ものすごく簡単に調整ができます。
気になるポイント
Leofotoのギア雲台G4は基本的には大満足なLeofotoのギア雲台ではありますが、もちろん気になる点もいくつか挙げてみます。
重量
Leofotoのギア雲台の重量は公称で690gなので、それなりにズッシリ感があります。なのでそ屋外に連れ出す際にはれなりに気合の入った撮影をしようという時になると思います。
まぁギア雲台を使用する人は元々気合が入った方々が多いでしょうし、大きくて重たいカメラやレンズを使用していると思うので「敢えて挙げるなら」の問題になります。
ノブのトルク感のムラ
ノブを回す際のトルク感にムラがあります。ノブを一回転させる途中でギアが重たくなる瞬間があるんですね。ものすごくムラがあるわけではありませんし、ずっと回し続けるものでもないので全然許容範囲ではあるので、こちらも「敢えて挙げるなら」指摘しておきたい問題になります。
ノブの回転方向とヘッドの動きの関係
ノブを「左右に回転させるとヘッドが前後」に動き、ノブを「前後に回転させるとヘッドは左右」に動きます。なので直感的に操作する上では混乱してしまうような動作になります。
ARCA-SWISSのD4も同じような動作になると思うので、構造上仕方がないところがあるのかと思いますが、直感的に操作するには、ノブの回転方向とヘッドの動きが連動していると混乱しなくて良いのになと思いました。つまり、ノブを右に回せばヘッドも右に傾いてくれればすごく分かりやすくなるはずです。
ただし、こちらの問題も「敢えて挙げるなら」程度の問題で、操作に慣れれば良いだけのことなので、そこまで大きな問題ではありません。
右ねじを思い描けば解決
ノブとヘッドの動作の違和感に関しては「右ねじを思い描けば理解しやすい」と教えていただきました。
右ねじとは、一般的なネジで、時計回りに回せば締め込まれ、反時計回りに回せば緩まるネジのことで、時計回りで前へ進み、反時計回りで後進するようなネジです。
ヘッドの動きはこの右ねじと同じ動きになっていて、時計回りに回せば、ヘッドはノブに対して前方向に傾き、反時計回りに回せば手前に傾くという具合です。
なるほど、これは理解しやすいです。
パンニングはギアではない
贅沢な要望であることは重々承知なのですが、パンニング(水平)の動きもギアで調整できれば最高だったのにと思います。
Leofotoギア雲台G4まとめ
Leofotoのギア雲台G4は一般的な湯自由雲台などと比べると価格も高く、なかなか手を出しづらいものではありますが、実際に使ってみるとその便利さに「購入して良かった」と思うはずです。
僕自身、物撮りをする際の自由雲台でのフレーミング調整には毎度ストレスを感じていましたが、このLeofotoのギア雲台 G4を購入したお陰で、フレーミングが決まらないというストレスからは完全に開放されました。
僕にとっても少々高価な買い物では有りましたが、今後の写真撮影のことを思うと、良い買い物をしたと思います。
Leofotoのギア雲台G4の細かい部分のレビューについては下記の記事をご参考ください