自由雲台などにカメラを固定するためにアルカスイス互換のクランプが多く使用されていて、ノブ回してクランプを締めてカメラを固定するスクリューノブ式のクランプが一般的かと思います。
さて、このスクリューノブ式のクランプを使用する時に、ノブをレンズ側にするべきなのか、それともレンズとは反対側、つまりは撮影者である自分の方向にした状態にするべきなのかでいつも悩んでしまいます。
どちらでも使用できるので「どちらでも良い」ものかもしれませんが、各メーカーの使用例や個人的な使用感などから、どちらで使用するのが正解かを考えてみました。
クランプのノブは前にすべきか後ろにすべきか?
前側(レンズ側)
後ろ側(撮影者側)
クランプのノブの位置について考えてみると、ビデオ雲台など、カメラをスライドプレートの上に平行に取り付けて使用する場合には、クランプの溝に対してカメラも平行にセットされるため、クランプのノブは左右のどちらかにくるようになります。
この場合はあまり気にならないのですが、問題となるのは写真用のカメラの場合で、L型プレートを使用していると、クランプの溝に対してカメラの向きは90度回転した状態で取り付けられることになり、クランプのノブの位置は前後、つまりレンズ側か撮影者側にくるようになります。
このクランプのノブ位置を前側か後側のどちらにするのが正しいのか、カメラを雲台に取り付ける際にいつも疑問に思っていたので、ハッキリさせたいと思い、代表的な雲台やL型プレートのメーカーの製品写真や使用イメージなどを参考に答えを探してみることにしました。
基本は左右どちらかにノブがくる
Photo via:https://www.gitzo.com/
雲台とセットになっているようなプレートを普通に使用した場合、ビデオ雲台などと同じ様にカメラはクランプの向きと平行にセットされるはずなので、クランプのノブは右側か左側にくるようになります。
もう少し踏み込んで考えると、カメラのグリップは右側にあり、カメラを雲台にセットする際には「右手でカメラをホールドしながら左手でノブを締める」ということになるかと思うので、クランプのノブは左側が基本ということになりそうです。
上記のGitzoのホームページから引用させていただいた写真でも、ノブは左側で使用されています。
要するに、ノブを前後どちらかにすべきかという問題はL型プレートを使用した場合に起きる問題と考えることができるかと思います。
各メーカーの使用写真から答えを探す
Gitzo
Photo via:https://www.gitzo.com/jp-ja/heads/ball-heads/
Gitzoの公式では残念ながらL型プレートを使用した使用イメージを見つけられませんでした。
ただし、雲台の製品写真を確認すると、雲台の正面に対して、クランプのノブも正面を向いた状態で撮影されているので、ノブは前側(レンズ側)で使用するのを基本としているかもしれません。
● 判断できず
RRS
Photo via:https://www.youtube.com/watch?v=7rIpu4OwZ7E
RRSではL型部レートを使用しての解説動画の中ではレバー式クランプですが、レバーを前側(レンズ側)にして使用しているのが確認できました。この考え方だとノブの場合でも前側(レンズ側)にして使用することになると思います。
Photo via:https://www.reallyrightstuff.com/bh55-ball-head?quantity=1&custcol19=7
しかし、RRSの公式の製品写真では、クランプ部分のロゴが正面に向いていて、ノブは後ろになっていることを思うと、ノブは後ろ側(撮影者側)で使用するのを基本としているのかもしれません。
● どちらでも良い
KIRK
Photo via:https://www.facebook.com/Kirk-Enterprise-322226881454/photos
KIRKはFacobookの公式ページに使用イメージの写真がいくつか公開されていました。
ノブの位置はあまりこだわっていないようで、前側と後側になった使用例が混在しています。
● どちらでも良い
ProMediaGear
ProMediaGearはカタログでは、すべてノブは後ろ側(撮影者側)にセットされた状態で使用されています。また動画でも僕が確認した範囲では全てノブは後ろ側(撮影者側)にセットされていました。
● 後ろ側(撮影者側)
Acratech
Photo via:https://www.youtube.com/watch?v=R0K_QVrV_-M
アクラテックは公式動画、Facebook公式ともにすべてノブは後ろ側(撮影者側)にセットされた状態で使用されています。
● 後ろ側(撮影者側)
Leofoto
Photo via:https://leofoto.com/
Leofotoの公式の製品写真ではノブは前側(レンズ側)でセットされています。
しかし、Facebookその他の使用例の写真では後ろ側(撮影者側)にセットされた写真もいくつか見つかりました。
● どちらでも良い
正解はどちらでも良い
メーカー的にはどちらでも
各メーカーの製品写真や使用事例の写真を確認する限りでは「どちらでも良い」というような答えになるかと思います。
実際問題であまり重要な問題ではないですし「使いたいように使って貰えれば良い」というようなところでしょう。
個人的には前側(レンズ側)
個人的にはクランプのノブは前側(レンズ側)にするのが良いと思っています。
取り付け時の確実性を考えると、ノブが後ろ側(撮影者側)の方が目視で確認しやすいので良いという考え方の人もいらっしゃるかと思いますが、撮影時の雲台の操作を考えるとノブは前側(レンズ側)にした方が良いのではと思うのです。
確かにノブが後ろ側(撮影者側)にあると、操作はしやすくなりますが、それだけに自由雲台を操作する際に、ついつい触ってしまいがちです。
しかし、クランプのノブの操作が必要になるのは、取り付け取り外しの時だけです。
撮影時には基本的には触る必要のないノブです。
それを触ってしまうということは、問題が起きやすくなるということでもあります。
例えば、一般的な自由雲台だとボール固定良いのノブ、フリクション用のノブ、ボトムのパンニング固定用のノブの3つが備わっているものが多いですが、実際問題でノブが3つでも操作で混乱してしまうことがあります。ノブはなるべく少なくしたほうが操作がしやすくなるのです。
ところがクランプのノブが後ろ側(撮影者側)にあると、ノブが4つあることになり、より操作が混乱してしまうようになるのです。
さらには、クランプ部分にパンニング機能が備わっていたりすると、クランプ部分のパンニングを固定するためにさらにノブが増えてしまいます。そうするとクランプのパンニングのためのノブを操作しようと思った時に、誤ってクランプを緩めてしてしまうというミスをやってしまいがちです。
実際それで緩めなくても良いクランプを緩めてカメラを落下させそうになったことが何度もあります。
クランプの締付けノブは必要な時以外は触りたくないノブなので、視覚的に隠れる前側(レンズ側)でセットした方が、操作を迷わなくなり、不用意にクランプのノブを触ることを防ぐことができるようになるというのが、僕がクランプのノブは前側(レンズ側)にするのが良いと思う理由です。
まとめ
繰り返しますが、L型プレートを使用しない場合はこの問題は考えなくても良いのと、前側でも後ろ側でもどちらで使用しても間違いではないというところなので、使い勝手の良いほうで使用するのが良いと思います。
ただ、その場合でも、自分の中のルールで前側にするか、後ろ側にするかは明確にしておいた方が、操作はしやすくなると思うので、取り付けの際には意識するようにした方が良いでしょう。
以上、クランプのスクリューノブの位置は前側(レンズ側)にするのが良いのか、それとも後ろ側(撮影者側)にするのが良いのかについてまとめてみました。