写真を撮影していると「もう少し便利に使えるようにならないかなぁ」と思うような、ちょっとした不便なことが沢山あります。
自由雲台などを使用すれば、ある程度問題は解決することができるのですが、万能な機材はありません。そんなわけでカメラ周辺アクセサリーには、そんな小さな不便を解決するための便利なアイテムがいろいろあります。
そんな、ちょっとした不便を解決するための代表的なアクセサリーと言えばスライドプレートかと思います。
スライドプレートとは?
スライドプレート概要
スライドプレートとは、その名前の通りでスライドさせるためのプレートです。直球過ぎて何の説明にもなっていませんが、スライドプレートを使用すると、雲台に組み付けてカメラを前後(あるいは左右)にスライドさせて位置調整ができるようになるプレートです。
この「ちょっとした位置調整」ができるというのが大きなポイントで、スライドプレート無しで微妙な位置調整をしようと思うと、意外と面倒なんですよね。
写真の初心者でもきっとスライドプレートの存在くらいは知っているかと思いますが、スライドプレートを「何のためにつかうのか?」「どのような場面で活用するものなのか?」というのが今ひとつピンと来ない人も多いんじゃないかと思います。
確かにスライドプレートが無くても、頑張ればなんとかなることも多いので「別に無くても構わない物」ではあるのですが、あればあったで物凄く便利で、いろいろな問題を解決してくれて、撮影が捗るアクセサリーでもあるので、僕にとっては必要不可欠な撮影道具の一つでもあります。
Leofoto 多目的スライドプレート
冒頭の写真のスライドプレートはLeofoto(レオフォト)の多目的スライドプレートと呼ばれるNR-200とNR-100です。
スライドプレートはこのようなシンプルなプレートですが、Leofoto製品に限らずで様々な長さのプレートがあり、用途に応じて適当な長さのプレートを選べるようになっているのが一般的です。
LeofotoのスライドプレートにはこのほNR-200とNR-100の他にNR-140がラインナップされています。
Leofotoの多目的スライドプレート
● NR-200(長さ227mm /プレート部200mm)
● NR-140(長さ167mm /プレート部140mm)
● NR-100(長さ127mm /プレート部100mm)
マクロスライダーもスライドプレートの仲間
スライドプレートは、いくら有っても困らないものなので、どうせなら同じLeofotoの製品で中間のサイズであるNR-140も買おうかと迷いましたが、Leofotoにはスライドプレートの仲間であるマクロスライダーと呼ばれるプレート(150mm)あり、そちらで代用できそうなのでNR-140は購入していません。
上記の写真の真ん中の少し形が違うプレートがマクロスライダーです。マクロスライダーはその名前の通りでマクロ撮影の際に便利なスライドプレートです。マクロスライダーの使用方法などについては下記のページで詳細をまとめていますので興味のある方はチェックしてください。
そんなわけで、僕が所有しているスライドプレートはLeofotoのNR-200とNR-100、それからマクロスライダーのMP-150になります。
Leofotoのスライドプレートはアルカスイス互換
Leofotoのスライドプレートはアルカスイス互換なのでLeofotoの雲台だけでなく、その他のメーカーのアルカスイス互換品と合わせても使用することができます。
スライドプレートの端にはアルカスイス互換のクランプが付属しているので、カメラ側もアルカスイス互換にすることで、効率よくスライドやカメラの着脱ができるようになります。
スライドプレートのは、自由雲台に組み付けて上記の写真のような状態で使用することになります。
Leofotoのスライドプレートの有り難いところは、両面がアルカスイス互換として使えるようになっている点です。なのでプレートを裏返しにしてカメラを宙吊りのような状態にセットすることも容易にできてしまいます。
僕の用途では滅多にそのような使い方をすることはないと思いますが「ちょっと困ったことを解決するアイテム」として、しっかりとツボを押さえている感じがします。
裏面には滑落防止のボルトもあるので安心です。また、1/4"ネジも付属しているのでカメラを取り付けて普通のカメラプレートと同じ様な使い方ができると思いますが、スライドプレートのクランプ部分以外にわざわざカメラを取り付けることは無いと思うので、オマケ的なものですね。
多目的スライドプレートの使用方法
スライドプレートは多目的スライドプレートと呼ばれるだけあって、様々な撮影で便利に使用することができます。使用方法は人それぞれ、アイデア次第というところもありますが、スライドプレートの基本的な使用例をいくつか紹介してみます。
カメラを被写体に近づける マクロ撮影など
マクロ撮影などでは被写体との距離を微調整したい場合が多々あります。そんな時にスライドプレートは便利に使えます。例えば三脚などの脚が邪魔で被写体に近づけない時などはスライドプレートの先端にカメラを載せることで被写体にカメラを寄せつつ、距離の調整をすることができるようになります。
この場合は、長さのあるスライドプレートを使用することで調整がしやすくなると思います。
もちろん、マクロスライダーを使用すればさらに効率よく撮影できるようになります。
カウンターバランスをとる
カンターバランスをとると操作が楽になる
スライドプレートはカウンターバランス(釣り合い)を取るために使用できます。
例えば、自由雲台にカメラを載せて撮影する際に、望遠レンズなどの重たいレンズを取り付けていた場合、どうしてもフロントヘビーになってしまいます。フロントヘビーになると、重心が雲台から離れてしまいテコの原理で負荷が大きくなってしまうので操作がしずらくなってしまうことや、より耐荷重量の大きな雲台を使用する必要が出てきます。
また、角度調整をしようとして雲台をフリーにした瞬間に「カコン!」とカメラが勢いよく傾いてしまって三脚にレンズをぶつけてしまったり、最悪の場合、そのまま勢い余って転倒してしまうなどの事故にもなりかねません。
そのような場合に、スライドプレートを使用してカウンターバランスをとることで、雲台をフリーにしても勢いよくカメラが傾いてしまうこともありませんし、角度調整も非常に楽に行えるようになります。
スライドプレートを使用して自由雲台でカウンターバランスをとる動画
ビデオ雲台でも便利に使える
カウンターバランスをとるのはビデオ雲台のセットアップでは基本中の基本になります。一応ビデオ雲台にはプレートが備わっていたりしますが、例えばLefotoのビデオ雲台BV-10は本体が小型なので付属しているプレートも短いです。なので、フロントヘビーなレンズを使用するとカウンターバランスが取れないなどの問題が出てしまうことがあります。
そこで長めのスライドプレートを使用することで、重たいレンズでも問題なくカウンターバランスをとることができるようになります。
パノラマ撮影
パノラマや全天球パノラマ撮影などでは、レンズの視差のないノーパララックスポイントを中心にカメラを回転させて撮影をする必要があります。
ノーパララックスポイントは通常レンズの先の方にあるので、カメラを後ろにずらす必要があり、その際にスライドプレートを使用します。この際にスライドプレートが長すぎると写り込んでしまうので、レンズの長さに合わせたスライドプレートを使用することで問題を避けることができます。
パノラマ撮影では、ノーパララックスポイントを出して、水平に回転させる必要があるので、スライドプレートに水準器が備わっているのは大きなポイントです。また水平に回転させるために、雲台のヘッド部分が回転するパンニングクランプであることなどが必要条件になります。
パノラマ撮影については、細かく書くと主題が変わってしまうので、セット方法、撮影方法などは別の記事でまとめみたいと思います。
ちなみに僕がパノラマ写真の撮影時によく使用する雲台はLeofotoのNB-46です。雲台自体がどっしりと安定しているわりに細身なのと、パンニングクランプが備わっているのがポイントです。(Amazonなどで販売されているNB-46はパンニングクランプでない場合があるので注意してください。クランプ部分は変更できるので僕はレバークランプタイプのパンニングクランプPCL-60に変更しています。)
多目的スライドプレートのまとめ
Leofotoの多目的スライドプレートを参考にしながら、スライドプレートの使い方の例を挙げてみました。
撮影の現場では、いろいろな場面で小さな不便を感じてしまうことが多かったりするのですが、スライドプレートがあるおかげで助けられることは非常に多いのです。
写真を撮り始めたころは、ただのプレートにしか思えず、全く必要性を感じることがなかったスライドプレートですが、今では必要不可欠な機材の一つになっています。
ただのプレートに見えても、RRSやKIRKなどの有名メーカーのスライドプレートなどは一万円を超えるような価格ですし、Leofotoでさえ1万円近くしてしまうので、安い物ではないですが、NeewerやSUNWAYFOTOなどの格安でおなじみの中華メーカーだと数千円のものもあります。
もちろん高級なメーカーほど精度も高くなり、使い勝手も良くなるものと思いますが、趣味のレベルの撮影であれば、安いプレートでも問題なく使えるんじゃないかと思います。
上記で紹介したことの他にも「ちょっと一工夫したい」という時にはスライドプレートが一枚あるだけで撮影の幅が広がったりもするので一枚と言わず複数枚持って置きたいアクセサリーです。
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Lefoto(レオフォト)の製品に関する情報は下記にまとめていますので興味のある方は参考にしてみてください。