自由雲台のクランプをアルカスイス互換にすると、カメラの着脱が非常に楽になります。そんなわけで、僕自身も所有している雲台は全てアルカスイス互換にしています。
ところでアルカスイス互換のクランプにはノブを回して着脱するスクリューノブクランプとレバーを動かして着脱するレバークランプがあります。
どちらかと言えばスクリューノブクランプが一般的ですが、メーカーによってはレバークランプを選択できたり、レバークランプ部分だけを別売していて、後から交換できるようにしていたりもします。
ネットの評判を見たりすると「レバークランプが便利でお勧め」という意見が多いように思いますが、価格も高いですし、レバークランプを採用している雲台も少なかったりするので、実際のところどうなのか?という疑問もあるかと思います。
そんなわけで、スクリューノブクランプとレバークランプとではどんな違いがあるのかを解説します。
スクリューノブクランプ
スタンダードなクランプ
スクリューノブクランプは一般的なクランプです。
アルカスイス互換のクランプの多くはスクリューノブクランプです。
スクリューノブクランプのメリット
多くのアルカスイス互換プレートと互換性がある
アルカスイス互換とは、アルカスイスのシステムで使用できるという意味であり、サイズなど厳格に規定された規格のようなものであはりません。
そのため、アルカスイス互換を謳っていても、メーカーによりプレートのサイズはまちまちで、少しずつ違っていたりします。
このサイズの違いが後述するレバークランプでは問題になるのですが、ノブクランプの場合はクランプ部分を自由なサイズで開閉させることができるため、メーカー問わずで多くのアルカスイス互換のプレートを使用することができます。
要するに汎用性が高いので、プレートが合わないという問題をさけられるという部分で、多くの雲台のクランプはスクリューノブクランプを採用しているのではないかと思います。
ただし、メーカーによりクランプの開閉具合に差があるので、幅広のプレートと開きが狭いクランプとの組み合わせなどだと問題が出る場合もあるので、同じメーカーで揃えるのが基本的には良いと思います。
位置の調整が楽
カメラを前後や左右に少しだけ移動させたい場合はスクリューノブクランプの方が便利です。
一気に開放されてしまうレバークランプに対して、スクリューノブを少しだけゆるめて、カメラをちょっとだけスライドさせてまた締めるというような調整ができます。
レバークランプでもレバーの開き具合で締め付け具合が調整できたりもするので、微調整もできるかと思います。
強固な固定
スクリューノブの締め付け具合によって固定力が変えられるので、大きなレンズなどを使用した時などは強く締めることでよりしっかりと固定することができます。この点は、固定力が一定のレバークランプに比べると有利に働く部分だと思います。
スクリューノブクランプのデメリット
操作間違いがある
自由雲台には雲台を固定するためのノブや、パンニングを固定するためのノブなど、いくつものスクリューノブが備わっています。
いずれのスクリューノブの形状や大きさも似通っているため、操作間違いをしてしまうこともあります。致命的な問題になることは少ないですが、それでも操作の度に、どのスクリューノブを動かすのかを考えなければいけないのはストレスでもあります。
固定されていないときがある
スクリューノブはカメラを固定できたつもりでいても、締め込みが足りなかったり、そもそもプレートが噛んでいなかったりでカメラが固定されていない場合があります。
なので、雲台や三脚を傾けた際に、カメラがスライドしたり落下してしまうこともあります。
「しっかりと固定した」という感覚が分かりづらいのがスクリューノブ式のクランプの欠点でもあるので、カメラの落下事故の原因になることが多いと思います。
着脱に時間がかかる
ノブを回して着脱をするので、どうしても時間が掛かります。
それほど着脱をしないのであれば気になりませんが、頻繁に着脱をする場合には煩わしさを感じてしまいます。
その煩わしさもあって、締込みが足りないなどの問題も発生しやすくなるものと思います。
レバークランプ
レバー式クランプ
レバークランプはレバーの開閉でカメラを固定するタイプのクランプです。
レバークランプのメリット
着脱が早い
スクリューノブクランプに比べると、レバークランプは素早く着脱ができます。そのため頻繁に着脱をしたり縦横を切り替えたい人にとってはレバークランプを選択するメリットが大きくなります。
着脱が確実
レバークランプはプレートと噛み合っていなければ、すぐに気が付きます。固定する際も手応えがあるので、固定したつもりで固定されていないというような失敗がありません。
また、レバーを倒せばしっかりと固定されるので、スクリューノブクランプのように中途半端に固定されてスライドしてしまうというようなことはありません。
操作がシンプルになる
スクリューノブからレバにすることで雲台周りのごスクリューノブが減らせて操作の理解がしやすくなります。
小さな違いのようにも思えますが、着脱は毎度のことなので、このストレスから開放されるメリットは大きいです。
レバークランプのデメリット
選択肢が少なく価格が高い
レバークランプが最初から装備された雲台は少なくなります。
クランプ部分を後から交換することはできますが、レバークランプ自体が安くはないので、トータルで考えるとそこそこの金額になります。
何を選ぶかにもよりますが、スクリューノブクランプに比べるとレバークランプの価格は1万円〜15,000円くらい高くなる感じです。
ちなみに、Leofotoの自由雲台LH-40をレバークランプにしようと思うと50,000円を近くになってしまいます。そうなると、個人輸入にはなりますが、本家のRRSの自由雲台BH-40や、レバークランプではありませんが大型自由雲台のBH-55に手が届く価格になります。
プレートとの相性がある
レバークランプはその構造上、クランプ部分の可動範囲が限定されます。
そのため、クランプの稼働幅に適合したプレートでないとクランプを閉められなかったり、逆に緩くて固定できないなどの問題が発生します。RRSなどのようにクランプの調整ができないタイプのレバークランプの場合はこのような問題が出てきます。
そのためRRSのレバークランプを使用する場合は、RRSのプレートを使用した方が良いということになります。
Leofotoのレバークランプはアジャスター機能があるので調整はできるので装着できないという致命的な問題は回避できますが、それでもプレートが変わると同様の問題が出るため、どんなプレートでも使えるスクリューノブクランプに比べると煩わしさを感じる部分です。
まとめ
スクリューノブクランプとレバークランプはそれぞれ一長一短なので、どちらを選択すれば良いのかは用途にもよるとは思いますし、実際問題で人によっての好き嫌いもあるようです。
個人的にはスクリューノブクランプを使用して着脱ミスでカメラを落下させた経験もあるので、安心感のあるレバークランプの方が好きです。よく使用する雲台もレバークランプに交換しています。
RRSやLeofotoなどは交換用のレバークランプが用意されていたりするので、そちらを購入してDIYで組み替えるという感じです。
クランプの交換作業は自分自身で出来る程度のものなので、レバークランプに興味のある方は交換してみるのが良いと思います。