Leofotoの三脚の石突を通常の石突からサクションカップ石突に交換してみました。
サクションカップは半球状の石突で、通常の石突と比べると広い接地面でより三脚を安定させることができる三脚アクセサリーです。
Leofotoのサクションカップ石突には二つのサイズがあり、直径50mmのSC-50、直径80mmのSC-80があります。
今回購入したのは直径80mmのSC-80ですが、どうにもこうにも使い勝手が悪く「こいつは使えない」という評価をしていました。あまりに酷いのでLeofotoに直接問い合わせてみたところ、どうやら使い方や用途が間違っていたようで、正しい使用方法を教えてもらいました。
どのように使用するのかが知りたい方は、一番下までスクロールして確認してください。
サクションカップ石突とは
サクションカップ石突とは、三脚の足の部分のパーツ(石突)で、通常の石突とは違い、サクションカップ(吸盤)のような形をした石突です。通常の石突と比べると接地面積が広いので、より三脚を安定させる効果があります。
写真用の三脚ではあまり一般的ではないかもしれませんが、より安定性を要求されるビデオ三脚ではサクションカップやそれに近い形状の石突が採用されているることが多いです。写真用ではGITZOのシステマチック三脚などでサクションカップが採用されています。
そんなわけで、Leofotoの大型三脚LM-404Cを更に安定させたいと考えて、この巨大なサクションカップ石突であるSC-80を購入した次第です。
Leofotoサクションカップ石突
SC−80スペック
● 価格(税抜) 5,000円
● 直径 80mm
● ネジ径 UNC3/8″
SC-80は直径が80mmと非常に大きなサクションカップ石突です。そのため価格も5,000円とそこそこの価格です。GITZOの50mmのサクションカップ石突(GSF50)も同じくらいの価格ですから、結構強気な価格設定になっています。
その他のメーカーではサクションカップ自体が製品化されていないようで、3/8″で使用できるサクションカップ石突は、GTIZOとLeofotoくらいしか選択肢がありません。
なにはともあれ直径80mmもある巨大なサクションカップですから、ガッチリした安定感を望んでの購入でした。
Photo via:https://widetrade.jp/leofoto/sc-80/
ちなみに公式サイトや販売代理店の商品紹介ページでは軸部分はステンレスを使用しているとのことですが、届いた製品の軸は黒い塗装がされていて、質感的にステンレスではないような気がします。仕様変更されているものと思いますが、このあたりは明記しておいて欲しいですね。
Leofotoサクションカップ石突SC-80使用レビュー
実際にLeofotoサクションカップ石突SC-80を使用してみた結果、元の石突に戻してしまいました。
元の石突に戻した理由は。サクションカップ石突を使用すると三脚がしっかりと安定するものだと思うのですが、逆に安定しなくなってしまったからです。
いろいろと要因があると思いますが下記に安定しない原因と思われる事項をまとめてみました、
フラットでない底面
Leofotoのサクションカップの素材はタイヤなどで使用されることの多いシリコーンゴムが採用されているようで、通常の石突のゴムよりは少し固めです。
問題はその大きさで、開封して手に取った瞬間から「歪みが生じて底面を平らにするのは難しいだろうなぁ」と感じました。実際に目視でも底面がなんとなく歪んでいるような気がします。
試しにサクションカップ石突を平らな机の上に置いて部分部分を軽く突いてみると、突く場所によって軸の部分が大きく動いたり動かなかったりします。そのことからも、やはり底面が平らではないのだろうなと思われます。
要するに面で接地するのではなく点で接地している状態になっていると思われます。
そのため、カメラを動かしたりレンズに触れたりすると重心が変化して、その度に接地している場所も変わってしまうと思われ、結果として揺れやブレの原因になるのではないでしょうか。
押すと曲がる(沈む)
Leofotoのサクションカップサクションカップ石突を手に持って曲げると、それほど強くない力でも曲がります。
カメラの角度を変えて重心が移動したりすると、サクションカップ石突の歪み度合いも変わるものと思います。そのせいか、フォーカスを合わせようと思うとカメラが揺れるなどの問題が出やすいように思います。
動きが渋い
サクションカップのボールポイントの動きが非常に渋いです。結構な力を入れないと角度調整ができません。動画を見ていただけると判るのですが、軸を動かすと摩擦音がギュッギュしてしまうくらい動きが渋いのです。
なので、接地させたと思っても実際はまだフラットな状態にはなっていなくて、斜めの状態で止まっていたりします。要するにきちんと着地できないのです。
例えばサクションカップ石突を適当な角度でセットしてしまうと三脚を立ててもサクションカップ石突がフラットになりません。信じられないかもしれませんがカメラを載せてもこの状態をキープしてくれます。
しょうがないので、上からギュッと抑え込まなければ着地することができません。それでもなお完全に着地していない場合もあったりするので、しっかり体重を載せて確認しないといけないのです。
こんな調子ですから、せっかくカメラをセットして画角を決めたとしてもフォーカス調整のタイミングで画角がズレてしまうこともあります。
もう少しサクションカップの動きが滑らかであればだいぶ違うと思うのですが,どうしてこの硬さにしてしまったの理解できません。
可動範囲
サクションカップのような安定させることが目的の石突は三脚の中心に向かってだけ稼働するものが一般的かと思います。
例えば上記の写真はビデオ三脚の定番メーカーであるザハトラーの三脚の石突きですが、可動範囲は三脚の中心方向だけに固定されています。
ところがLeofotoのサクションカップ石突の軸は直径1cm程度のボールポイントでジョイントされていて、横方法にも傾いてしまいます。
「アソビ」を持たせているとも考えられますが、三脚の開脚を一番狭くしたスタンダードなポジションで使用した場合、横からの力が加わるとすぐに軸が外側に傾いて、通常の石突を使用するよりも安定せず三脚が倒れやすくなってしまうのです。
上記の写真を見てもらうと解るかと思いますが、サクションカップは接地しているにも関わらず、軸が外側に傾いてしまうのです。
これではいくらサクションカップの底面が大きくても全く意味がありません。このサイズのサクションカップをボールポイントで支えようという構造自体に無理があるものと思います。
カメラなどを三脚に設置した場合、三脚の重心はかなり上になりますから、軸が外側に傾いてしまうと、ちょっとしたはずみで三脚が倒れてしまうことにもなりかねず、安心して使用することができません。
サクションカップ石突 についてLeofotoに問い合わせた結果
Photo via:https://leofoto.com/products_detail.php?id=180
上記のようにあまりに使い勝手が悪いので「もう少しどうにかならないのか?」というような問い合わせをLeofotoに直接してみることにしました。
結果、上手く働いてくれなかったのには意外な理由がありました。
動きの渋さについて
発売当初はもっと緩かったそうです。ところがユーザーから「もっと固くしてほしい」という要望があったため、動きを渋くしたとのこと。
僕はけして現在の硬さが正しい硬さだとは思いませんが、このあたりは使用する人の用途や感じ方次第ということもあるので、改良の末のことであるのであれば、相性が悪かったと諦めるしかありません。
使用方法について
Photo via:https://leofoto.com/products_detail.php?id=180
Leofotoに問い合わせをした後に「Webを更新したから確認してくれ」という連絡が来ました。案内されたページを見ると、今まではサクションカップの画像しか無かったサクションカップのページには、サクションカップが三脚に取り付けられた写真が多用されたページに更新されていました。
そしてどの三脚も一番スタンダードな開脚角度(狭い開脚)ではなく、二段目、三段目の広い開脚の状態になった写真が掲載されています。
この点についてLeofotoに確認するとサクションカップ石突の使用方法とも関係があるようです。「例えば氷上とかアイスバーンの上で三脚を使用する場合、通常の石突だと三脚が滑ってしまうので、それを防ぐために使用するのがサクションカップ石突なんだ」というような答えが返ってきました。
要するに、サクションカップはより安定性を得るための三脚アクセサリーではなく、氷上などで使用する場合の滑り止めのためのアクセサリーということのようです。
確かに、脚を広く開脚した状態だと、サクションカップの軸が外側に傾いて三脚が転倒することもありません。氷上やアイスバーンの上で使用するのであれば底面はフラットである必要もありません。安定させることよりも「滑りを止める」ことの方が重要なわけですから底面のイボイボも納得ができます。
確かに写真のように使用すれば滑り止めとしてきっと上手く機能するのではないかと思いましそうです。
残念ながら僕がこのサクションカップ石突SC-80を購入した時点では、Leofoto公式ページにも、販売店にもそのような写真も解説もありませんでした。そのため、三脚をより安定させるために使用するものだとばかり思ってサクションカップ石突を購入したわけですが、結果として全く用途の違う機材を購入してしまったということになるようです。
用途が違っていれば確かに上手く働いてくれるわけがありませんね。みなさんも書い間違えには注意しましょう。
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