B&Hなど海外の写真映像機材販売サイトでは、日本ではキャッシュバックキャンペーンでもなければなかなか見られないレベルの値引きがされていたりして、ついつい衝動買いしてしまうことが少なくありません。
しかし、故障や不具合があった場合の保証や修理などを考えると、よく分からないことも多いため、海外からの購入を躊躇してしまう人も多いかと思います。
僕自身、三脚や雲台など、故障のリスクの少ないアナログ機材は海外から購入することもありますが、レンズは海外から購入したことはありませんでしたが、ずっと欲しくて購入を決めていたレンズが大幅値下げで販売されているのを見つけたので衝動買いしてしまいました。
そんなわけで、自分自身の勉強のために、レンズを海外から個人輸入で購入した場合の保証や修理などについて調べてみたことをまとめてみました。
海外ショップからレンズを購入する際の不安や疑問
海外からカメラ・レンズを購入した場合
「きちんと動作しなかったらどうしよう?」
「修理に出すのに保証はどうだるんだろう?」
「アメリカで販売されたものを日本で修理できるのだろうか?」
などの不安や疑問が湧いてきます。
荷物はちゃんと配送されるのか?
荷物の扱いが乱暴で壊れそう
海外から何かを購入したことのある人は分かると思いますが、海外から配送されてきた荷物は箱が潰れたりしてボロボロの状態で届くことがよくあります。むしろ海外からの荷物で箱が潰れていないことの方が珍しいかもしれません。
そんなわけで、レンズなどの精密機器の場合、配送途中で乱暴に扱われて壊れてしまわないか心配だったりします。偏見かもしれませんが、海外では荷物を平気で投げたりするイメージがあるので、レンズだと非常に心配です。
しかし、それはEMSなどの一般的な手段で配送された場合で、FedExやDHLなどのクーリエで配送されるものは、EMSなどに比べると綺麗な状態で配送されてくるので、配送途中で壊れてしまうという心配はあまり無いと思っています。
またB&Hなどは通販サイトとして世界的に有名ですし、梱包もしっかりとしていて今まで何度も買い物をしていますが、梱包に関して不安に思ったことも問題になったことも特にありません。
ただ、配送の際に、多少なりに乱暴に扱われるというのは海外では当たり前なので、多少の箱潰れなどは覚悟しておいた方が良いと思います。なので、化粧箱などを大切に保管しておきたい人にとっては、海外通販はやめておいた方が無難かもしれません。
出荷や配送に時間が掛かりそう
B&Hの場合、出荷までの日数は、在庫の有無などによって大きく変わるので一概には言えませんが、在庫があるような場合は注文から数日以内には発送されます。
DHLでの配送をお願いした場合は、発送後約1週間程度で配達されると思います。
関税などの税金は?
海外から個人輸入する際には関税などの税金が加算されます。
関税は物品によって金額が異なりますが、カメラのレンズの場合は関税はかかりません。
ただし、消費税や建て替え納税手数料などは支払う必要があるので、税金の分までしっかり計算しておかないと、せっかく海外から購入したにも関わらず「国内で購入した方が安かった」なんてことにもなりかねません。
レンズを購入した際の税金などの目安は下記の通り。
レンズを海外から輸入する場合の税金など
● 輸入関税 無し
● 輸入国内消費税等 申告価格 x 6.3%
● 建て替え手数料 1,000円前後
例えば1000ドルのレンズを購入したとして、為替レートが1ドル=100円だった場合、レンズ価格は日本円換算で100,000円になります。
税金を計算すると
100,000円 x 0.63 = 6,300円
が税金になり、この金額と1,000円程度の建て替え手数料などを支払う必要があります。
製品登録は?
僕はフジフイルムのユーザーなので他のメーカーのことはよくわかりませんが、B&Hで購入したフジフイルムのレンズは、フジフイルムのユーザーページの「My FUJIFILM」の中での製品登録は問題なくできました。
もちろんファームウェアのアップデートなどにも対応しています。
キャッシュバックキャンペーンは適用される?
日本でカメラ用のレンズを購入する際にも最も安く購入できるタイミングはキャッシュバックキャンペーンを利用することだと思います。
海外で安く購入できたレンズにさらにキャッシュバックキャンペーンを適用させれば驚くほど安い値段で購入できそうです。
しかし、いろいろなメーカーのキャッシュバックキャンペーンの条件を調べてみましたが、いずれも「国内正規代理店から購入」というのが条件になっているため、海外から購入した場合にはキャッシュバックキャンペーンの対象外となります。
メーカー別の海外購入製品の保証や故障時の修理について
海外で販売されているレンズの保証や修理の対応についてはメーカーにより違っているようです。
下記は各メーカーが海外で購入した製品についての扱いについて説明している情報を参照にしています。ただし、情報が変わることもあると思いますので、不安な方はメーカーに直接確認してください。
キヤノン
本サービスの対象機器
対象機器は、お客さまが日本国内において購入された日本国内向けキヤノン製品*1でキヤノン保証書に『持込修理』『引取修理』と記載された機器*2を指します。弊社ホームページなどでご案内する訪問修理に本規約は適用されないものとします。
修理ご依頼時の注意事項
*1 日本国内向けキヤノン製品
海外で購入されたキヤノン製品でも国内で修理を無償もしくは有償で受けられる場合があります。詳細は操作ガイドをご覧ください。
ニコン
日本で販売されていないニコン製品の修理可否は、修理センターへお問い合わせください。
引用元: 日本で販売されていないニコン製品を海外で購入した場合、日本で修理はできますか
フジフイルム
対象製品
● GFXシリーズ / Xシリーズ およびFinePixシリーズの日本国内向けデジタルカメラ
● フジノンGマウントレンズ 、フジノンXマウントレンズ
引用元: 引き取り修理サービス
カメラには「日本国内向け」と表記があるのに対して、レンズは表記がないことから、海外で購入した製品でも対象になるのではと思います。
保証期間について
日本における当社製品の保証期間は、お買い求めから1年間です。製品購入時のレシートは大切に保管してください。
「日本で購入した当社製品」ではなく「日本における当社製品」というところに何か可能性を感じますね。
リコー
保証書は日本国内のみ有効です。
引用元: 修理に関するご案内
タムロン
この頁の記載事項は、日本国内のみ有効です。
引用元: 修理について
正規の保証書がない製品は保証の対象外とさせていただいておりますので、修理をご依頼いただく場合は有償修理となります。
パナソニック
特に記載無し
参考: 修理のご相談・お申込み
ソニー
特に記載無し
参考: デジタル一眼カメラ α(アルファ)サポート・お問い合わせ
オリンパス
特に記載無し
シグマ
特に記載なし
参考: 点検 / 修理に関するご案内
どのメーカーも明記無し
各レンズメーカーを調べてみると上記のような感じで、いずれのメーカーも明確な情報が見つかりませんでした。「保証修理します」「保証修理できません」のいずれも明記されていないんですね。
その理由について、メーカーの立場から考えると下記のようなことが考えられます。
● この件について問い合わせが少ない
● 普通に受け入れているので明記するまでもない
● 曖昧にしておきたい
上記の中で、曖昧にしておきたいというのが理由としては大きいんじゃないかなと思います。でもって、保証しないなら「保証対象外」とか修理が出来ないなら「修理不可」と明記した方がトラブルが少ないと思われるので、本来ならばそう書いても良さそうなんですが、書いてないので、そこには何らかの可能性があると思って良いんじゃないでしょうかね。
海外から購入したレンズの故障や修理について
国際保証は消滅の流れ
以前は海外で購入した製品については「国際保証書」が付けられていました。国際保証書を提示すれば世界中どこで購入したものであっても保証がされていたようです。
しかし、2014年位を堺にして「各国の法規制」の違いなどを理由に各メーカーが国際保証を廃止する動きが広まり、2020年現在では基本的にどこのメーカーも国際保証はしていないようです。
初期不良や保証期間内での故障や不具合の場合
基本は販売店への問い合わせ
商品に不具合があった場合は「販売店に問い合わせをする」というのが国内でも海外でも同じです。なので、万が一不具合があった場合には、基本的には販売店に問い合わせることになりそうです。
英語が苦手な人にとっては少々ハードルが高く感じてしまうかもしれません。実際問題で海外からの購入を躊躇する人の多くはこのことが心配で手を出せないのではないかと思いますが、相手も人間なので、自動翻訳レベルでも理解してくれると思います。
返送が面倒
もっと大きな問題は、販売店まで返送するのが面倒ということです。アメリカに問い合わせをして「アメリカに送り返してくれ」と言われても海外発送は面倒だし、送料も馬鹿になりません。お金だけでなく時間も国内購入と比べると大きく違ってきそうです。
国内のサポートセンターに問い合わせ
「修理保証対応かどうかは問い合わせてください」というようなアナウンスをしているメーカーが多いので、まずは国内のサポートセンターに事情を説明するのが良いと思います。おそらく何らかの対応をしてくれるか、少なくとも窓口の紹介や、修理の手続きの手順などについて説明してくれるはずです。
実際問題でインターネットの無かった時代に比べると、個人輸入での買い物がしやすくなった現在においては、海外からレンズを購入する人も少なからずいるでしょうし、前例もたくさんあるはずなので、顧客満足度の高い対応をしてくれるようになっているものと思います。
レンズの場合はレシートも同梱されていたりする
B&Hから三脚や雲台を購入した時にはレシートが同梱されていたことなんてなかったように記憶しているのですが、レンズを購入した時にはレシートが同梱されていました。
たまたまなのか、何かの理由があるのかは不明ではありますが、一般的にカメラのレンズをメーカーに保証をしてもらうためには、購入場所と購入日時の判るレシートが必要だったりすることから、そのために同梱しているのではないかと想像できます。
海外ショップからカメラ用レンズを購入してみるのまとめ
レンズは購入しても問題ないことが多い
海外ショップからレンズを購入することを調べてみた結果、対応はメーカーによって、多少の差はある感じですが、いずれも、トラブルがあった場合には問い合わせをすれば、それなりの対処してくれるのではないかと思います。
保証の関係などで無償修理が断られることはあるかもしれませんが、基本的には有償では修理をしてくれるようですし、不安であれば、購入前でも購入後でも「メーカーに直接聞く」というのが一番早いと思います。
せっかく海外から安く購入しても、メーカー保証が受けられずに保証期間内に故障をすると、却って高く付くというようなことも考えられるので、国内価格で安心を取るか、少しでも安く手に入れたいかというところの選択になりそうです。
故障して国内の保証が受けられないという場合でも、海外に問い合わせるという方法も残っていますし、保証と言っても通常は購入日から一年なので、仮に保証が受けられなくてもそれほど気にはしなくても良いかなという気もします。
以上、海外からカメラ用のレンズを購入した場合の修理や保証についてのまとめでした。