写真撮影をする際において、三脚が有るか無いかは写真のクオリティを大きく左右するものだと思います。
なので、日頃から三脚を使用して撮影している人にとって三脚が無い状態で撮影するというのは、なんとも言えない罪悪感というか、全力を出し切れていない感じがして後ろめたい気持ちになってしまったりするので、三脚はなるべく携帯しておきたいと思う機材の一つです。
複数枚の写真を同じ場所から同じように撮影するというようなことは三脚がなければできませんし、いくらカメラの手ブレ補正が強力になってきたと言っても、三脚自体はカメラマンにとって必須アイテムの一つというのは今後も間違いないかと思います。
なので、僕自身も写真を撮影しようと思う時には、なるべく三脚を持ち運ぶようにしたいと日頃から考えているわけですが、実際問題で手荷物が増えてしまったりすると、使うか使わないかハッキリしないようなお散歩撮影なんかでは「今日は三脚は要らないかなぁ」などと、三脚を持たずに出かけてしまうことも少なからずあります。
ところがそんな時に限って「あぁ、三脚を持ってくれば良かった・・・」と思うような場面に出会ってしまうなんていうのは、カメラ関係では「あるある」かもしれません。
そんなわけで、お散歩撮影レベルでも気軽に持ち運べて高さの出せる三脚は無いかなぁと思って見つかったのが、AOKA TripodのCMP163CとCMP163CLでした。
中国三脚メーカーAOKAのミニ三脚 CMP163CとCMP163CL
AOKAについて
AOKAは中国の三脚メーカーが犇めく中山市で2010年に設立された三脚雲台メーカーです。
中国名称は中山市奥咔摄影器材有限公司で、日本でも正式に代理店ができ、販売が開始されるようになりました。
AOKAについては下記の記事で詳しく解説しているので端折りますが、Leofotoに代表される、価格の割になかなか良い品質の製品を製造している、注目すべき新進気鋭の中国メーカーの一つでもあります。
AOKAの三脚
AOKAの三脚は現在のラインナップは「システマティック三脚」「トラベラー三脚」「エクスプローラー三脚」「ミニ三脚」の4つのカテゴリを基本にしていて、全てカーボン三脚で展開されています。
システマティック三脚
名前からも想像できるようにGITZOのシステマティック三脚と同様に、APEX部分の台座が取り外し可能になっていて、ビデオ撮影要のボウルカップなどに交換できる機能をもった三脚で、AOKAの三脚の中で、もっとも大きく太い三脚です。
トラベラー三脚
同じく名前から想像できるようにGITZOのトラベラー三脚と同じで、センターポールを備え、蛍光しやすさと剛性を備えた三脚です。
エクスプローラー三脚
Leofotoのレンジャーシリーズに代表されるセンターポールを省いてスリムに携行できる三脚で、昨今の中国系三脚メーカーでは定番になっているタイプの三脚です。
ミニ三脚
なによりもまずコンパクトさと携行性に全振りしたようなミニ三脚。
この中で、個人的にとても気になる三脚だったのが、一番最後に紹介した「ミニ三脚」でした。
AOKAのミニ三脚が気になった理由
個人的にテーブルフォトなどを撮影するきとも多いので、いろいろな種類のミニ三脚を持っていたりします。
例えば、一時期のミニ三脚の代名詞的な存在でもあったManfrottoのPiXIや、その進化版のPIXI EVO、折りたたみ式の脚で革新的なコンセプトのLeofotoのmt-03、コンパクトなカーボン三脚であるLeofotoのLS-223Cなどがあります。
それぞれに特徴がある三脚なので、用途に応じて使い分けたりはしているのですが、小さな三脚だとちょっと弱すぎたり、LS-223Cまでいくと逆に嵩張ってしまうこともあり、LeofotoのMT-3とLS-223Cの中間くらいの大きさと高さの三脚が無いか探していたりしたのでした。
そんな時に目に入ったのがAOKAのミニ三脚で、僕にとってはサイズ的にドンピシャな感じだったのです。
AOKAミニ三脚レビュー
AOKAのミニ三脚CMP163C+KB20とCMP163CL+KB20のレビューです。
通常サイズのCMP163Cと、ロングサイズのCMP163CLの2種類があります。
AOKAミニ三脚開封
AOKAミニ三脚のボックスの蓋を開けるとこんな感じで収められています。
個人的には化粧箱はすぐに捨ててしまうタイプなのであまりこだわりはありませんが、それでもテンションが上ってしまう瞬間ではあります(笑)
同梱物
CMP163C+KB20
CMP163CL+KB20
サイズが違う以外は、いずれも同様の付属品となっています。
● 3/8"スクリュー付きカラビナ
● スマートフォンアダプター
● アーレンキー 2本
● 延長ポール 16mm
● 三脚本体
● 収納袋
AOKAのミニ三脚のスペック
CMP163C+KB20
パイプ経:16mm
段数:3
収納高:190mm
全伸長:640mm
最低高:120mm
耐荷重:3kg
本体重量:290g
雲台KB20込み重量:440g
素材:10層カーボン
付属:スマートフォンアダプター
延長用センターポール
専用ケース
価格:11,000円(税込み)
CMP163CL+KB20
パイプ経:16mm
段数:3
収納高:305mm
全伸長:1290mm
最低高:120mm
耐荷重:2.5kg
本体重量:350g
雲台KB20込み重量:500g
素材:10層カーボン
付属:スマートフォンアダプター
延長用センターポール
専用ケース
価格:15,000円(税込み)
持ち運びのしやすさに特化した極細カーボン三脚
最も太い脚で16mm
AOKAのミニ三脚でまず注目すべきポイントは脚の細さかと思います。
型番の「CMP163」が示す通りで、最も太い部分で16mmの3段カーボン脚です。(おそらく16mm/13mm/10mm)
一番太い部分で、大人の男性の人差し指程度の太さになっています。この細い脚なのでCMP163Cの耐荷重量は3kg、CMP163CLは2.5kgとなっていて、フルサイズ機などの本格的なカメラを乗せるのにはちょっと力不足な感じがありますが、そもそもそんなカメラを載せるための三脚ではないので特に問題はないはずですし、完全に手放しで使用するのでなければ大丈夫だと思います。
軽量コンパクトなサイズ
この細い脚を採用していることで、雲台込みで500g以下という超軽量、コンパクトサイズが実現できているわけですから、スペック的にかなり尖った三脚であるのは間違いないですね。
剛性を捨てた結果として、持ち運びがしやすく、ちょっとそこまでのお散歩撮影などでは気軽に持ち運べるサイズの三脚になっています。
長さのサイズ感は、CMP163Cは雲台が無い状態でペットボトルの500mlと同じ程度、CMP163CLは牛乳パックの1Lパック程度が目安になるかと思います
Leofoto MT-03との大きさ比較
ミニ三脚として人気のLeofoto MT-03との大きさの比較です。
Leofoto MT-03もかなりコンパクトなミニ三脚ですが、CMP163Cは、負けないくらいのコンパクトさです。
ちょうど握りやすい太さで、自撮り棒的な使い方も出来ますねって思ったら、公式のプロモーション動画でも自撮り棒として使用していました。
まるで三脚のミニチュア
AOKAのミニ三脚の素敵なところは、ミニ三脚でありながら、その構造的な部分や機能的な部分は、通常の三脚と同じになっていて、普通の三脚のミニチュア版というような感じの三脚です。棚の上などにおいていても、なかなか素敵な佇まいがあります。
コンパクトカメラやスマートフォン用として最適
開脚角度が狭いというのが中華系三脚の特徴でもあり、AOKAのミニ三脚も、ちょっと狭いかなぁという印象です。
脚を伸ばさない状態であれば、フルサイズなどの少々重たいカメラでも標準レンズくらいであれば載せられそうなんですが、開脚が狭くて倒れそうなので載せるのが怖いなぁというのが実際のところです。
高さを出す目的もあるかと思いますが、もう少し開脚してくれると安定性が増して使いやすいんですけどね。
まぁ、このあたりは、コンパクトさに全振りしたような三脚なので、仕方がない部分ではありますね。逆に言えばコンパクトカメラやスマートフォンであればほとんど気にならならないと思います。
APEX部分
台座の部分には1/4"ネジが備わっていて、付属品のミニ雲台KB20だけでなく、他の雲台も使用できます。
カーボン脚の接合部分もCNC削り出しで、ミニ三脚としては珍しいくらいの良い質感で嬉しくなります。
カラビナ
APEXの裏側にはネジ穴があり、付属のカラビナを取り付けて、三脚を安定させるためにウェイトをぶら下げたりすることもできます。
耐荷重量的に使うかどうかは微妙なところだとは思いますが、ミニ三脚にもかかわらずこのような部分も再現されているのは良いですね。
拡張用1/4”ネジ穴
ミニ三脚ながらも脚の付け根部分のネジの一箇所には拡張用の1/4”ネジ穴があり、マジックアームなどの拡張アイテムを取り付けることができるようになっています。
3段階の開脚
脚の開脚角度も調整できます。
コンパクトながらも通常の三脚と同じような開脚角度が調整できる機能が備わっているのは便利ですし、開脚した状態であれば、脚を伸ばす必要もなくなるので剛性が確保できます。
ちょっとしたお散歩撮影のお供としてなら、大きなカメラでも、十分使える三脚になるだろうなと思います。
スパイク
三脚足部のゴム底はキャップになっていて、外すとスパイクが備わっています。岩場などで不安定な場所で使用する際に役立つかと思います。
ちなみに脚のロック部分のパーツはプラスチックではなく金属で、ミニ三脚にしてはしっかりとして良い質感です。
AOKAミニ三脚の最大の特徴は高さ
AOKAのミニ三脚の最大の特徴は高さです。
ミニ三脚ではありえないほどの高さが出せるので、ミニ三脚の使用方法の幅が大きく広がります。
脚を伸ばすとCMP163Cで約40cm(雲台込み)、付属のセンターポールを使用すれば約71cmまで高くなるので、視点の高さとしては胸元くらいまでの高さを確保することができます。
CMP163Cになると約136cm程度まで高くできるので、カメラの高さを考えると、標準的な女性の目線くらいの視点の高さにすることができます。
僕が知る範囲の話にはなりますが、これくらいのミニサイズの三脚でここまで高さが出せる三脚はあまり見たことがありません。
なので、ミニ三脚で高さが欲しいと思う人にとっては、買いの三脚になるはずです。
AOKAミニ三脚の付属品
雲台KB20
ミニサイズのアルカスイス互換のボールヘッド型自由雲台KB-20が付属しています。
サイズの割に固定力もしっかりとしていて、ミラーレスカメラの標準レンズ程度であれば重さに負けることは無いくらいしっかりと固定できます。
ミニサイズなのにパンニングもあるのが嬉しいですし、操作性も悪くはありません。
スマートフォンアダプター
スマートフォンアダプターもCNC削り出しです。
よくあるパターンとしては付属品だとプラスチック製の安っぽいものだったりするのですが、しっかりしたスマートフォンアダプターです。
バネ式で挟み込むタイプで、スマートフォンとしては大きなiPhone 13 Pro MAXやiPhone 8 Plus なども横位置で挟めるので、ほとんどのスマートフォンは問題なく使用できるものと思います。
三脚のサイズ的にスマートフォンなどと使用することも多いと思われるので、付属品としてスマートフォンアダプターが付いてくるというのは非常に気が利いています。
バッグ
付属のバッグは三脚本体だけでなく、雲台やスマートフォンアダプター、センターポールなども全て収納できるので便利で気が利いています。
カメラ写真機材としては小さなものになるので、もしバッグが付いていなければ別に用意する必要が出てくるので、このようなバッグが付属しているのは嬉しいですし、満足度も高くなります。
ミニ三脚沼から抜け出す三脚
今までいろいろなミニ三脚を使用してきましたが、なかなか満足できるミニ三脚に出会うことが出来ず、沼化していましたが、AOKAのミニ三脚で沼から脱出できたように思います。
標準の高さ
伸長時
CMP163CLの高さは圧倒的ですね。
もちろん、見た目通りに一長一短ということで、それぞれに特徴はありますが、大きさ、持ち運びやすさ、重さ、剛性、高さ、質感など、総合的なところでAOKAのCMP163CとCMP163CLは他のミニ三脚よりも優れているなと思えます。
ミニ三脚を探している(特に高さが欲しい)と考えている人にはAOKAのミニ三脚がおすすめです。