Leofotoのフルードビデオ雲台BV-10を購入しました。
動画の撮影も必要に応じて始めたいなという思いもあり、動画撮影用の雲台としてフルードビデオ雲台を探している中で見つけたのがLeofotoのBV-10でした。
ビデオ雲台としては「軽量」「コンパクト」「安価」と三拍子揃っていて、ちょっとした動画撮影や野鳥撮影などに興味のある人にとっては魅力的なビデオ雲台かと思いますので、下記の使用感などをまとめてみました。
ビデオ雲台とは
動画撮影用の雲台
ビデオ雲台とはその名の通りで動画を撮影する際に使用する雲台で、写真用の雲台では実現できないパンやチルトなどの自由で滑らかな動きを実現するための雲台です。
俗にフルード雲台などとも呼ばれ、油圧でムラの少ない滑らかな動きをさせることができます。
ビデオ雲台の代表的なメーカーとしてはSachtler(ザハトラー)が圧倒的に有名だったりしますが、シネマカメラなどの巨大なカメラを載せるためには、さらに大きなOCONNOR(オコナー)やCARTONI(カルトーニ)などが映画業界ではよく使われています。
参考 Sachtler
参考 OCONNOR
参考 CARTONI
写真撮影でも使う人は多い
ビデオ雲台を使用すると縦横無尽にカメラをスムーズに動かせることから、写真の世界でも野鳥などの撮影分野ではビデオ雲台の愛用者が多いるようです。
僕の中では写真系の人はカメラをブランコに載せたように動かせるジンバル雲台がその手の分野ではよく使われているというイメージがありましたが、確かにビデオ雲台は野鳥などの動体を撮影するのにも適していそうです。
Leofotoの製品でもジンバル雲台はPG-1があります。品番からもなんとなく想像ができますがアメリカのメーカーであるProMediaGearのジンバル雲台GKJr. Katana Juniorにそっくりな雲台です。
参考 ProMediaGear GKJr. Katana Junior Telephoto Lens Gimbal Head
参考 Leofoto ジンバル雲台 PG-1
Sachtler(ザハトラー)は格好良いけど値段が高い
写真の世界でちょっと良いビデオ雲台を買おうと思うと、Sachtler(ザハトラー)一択で間違いないんじゃないかなと思います。RRS(Really Right Stuff)もビデオ雲台を出していてデザインも良くて評価も悪くないようですが、RRSが大好きとかでなければ、Sachtlerを選択するのが無難でしょう。
写真用途でのSachtlerのビデオ雲台の定番はFS6やFSB8あたりになります。
性能がお墨付きなのはもちろんですが、デザインも格好良いので思いっきり物欲を刺激される素敵なビデオ雲台です。
しかし価格が15万円程度することもあり、僕のような「ちょっと動画を滑らかな動きで撮りたい」なんて考えている甘いレベルの人にとっては、どう考えてもオーバースペックです。
安いフルードビデオ雲台もある
Sachtlerはちょっと高価で手が出ないけれど、安いビデオ雲台も探せばいろいろ見つかります。
実際問題でザハトラー以下になると、それなりの製品になって「値段と相談して好きな製品を選べ」という感じになるかと思います。
メーカーにこだわりたいのであればGITZOやManfrottoなどの定番メーカーでも見つけられますし、値段の安いものを探せば有象無象の中華メーカーからもいろいろなタイプのフルードビデオ雲台が販売されています。
個人的な意見を言えば、趣味程度でちょこっと使ってみたい程度であればよっぽどの格安品でなければ、問題なく使えると思われるので、どれを選んでも似たりよったりな感じじゃないかと思っています。
Leofotoのフルードビデオ雲台 BV-10
評判の良かったLeofotoのフルードビデオ雲台を購入
手頃なフルードビデオ雲台は無いかと調べてみたところ、僕が三脚などのカメラ周辺機材として購入しているLeofotoと呼ばれるメーカーの製品にもフルードビデオ雲台(BV-10)があることを知りました。
Leofotoのビデオ雲台 BV-10について調べてみたところ
● ビデオ雲台としては安い
● コンパクトで持運びしやすい大きさ
● 品質もそれなりに良い
というような評価が多いようです。
スペック的にはそれほど大きなカメラ機材は載せられませんし、金額的にもそれほど期待してはいけないということを前提にして考えても、僕の用途としては十分なスペックだったので購入を決めました。
Leofotoのビデオ雲台 BV-10の基本スペック
● 長さ 388mm(ハンドル含む)
● 幅 122mm
● 高さ 91mm
● ベース径 60mm
● 傾斜角(ティルト角度) +90°←→ -75°
● パンニング角 360°
● カウンターバランス 4kg
● 重量 760g
● 耐荷重重量 5kg
可動範囲などのスペックについてはビデオ雲台であれば、どのメーカーの雲台でも同じ様なスペックになるかと思うので特筆するようなことはありませんが、可動範囲が+90°←→ -75°ということで、真下(+90°)からほぼ天頂(-75°)まで動かせるという感じです。
もっとも重要な情報は、カウンターバランスが4kgという点。
ミラーレスカメラで撮影する分には、十分なスペックかと思いますが、スムーズな動作が出来るか否かは、載せるカメラの形状やレンズの大きさ、アクセサリーなどにも影響を受けるので、スペックの半分くらいの重量を基本に考えると良いかと思います。つまりカウンターバランスが4kg程度であれば、カメラセットの重量は2kg程度までという感じです。
少し本格的な動画撮影の装備になると簡単に超えてしまう重量でもあるので、Leofotoのビデオ雲台 BV-10は、ミラーレスカメラなどの小型のカメラ用として割り切った感じのスペックになっていると思います。
逆に言えば、大きなカメラを載せることを全く考えず、コンパクトさを優先した結果のスペックですね。
ビデオ雲台としては軽量コンパクトで安価
Leofotoのフルードビデオ雲台 BV-10の重量は760g。一般的な写真用の雲台として考えれば重たいですが、フルードビデオ雲台として考えるとかなり軽量になります。
フルードビデオ雲台は基本的に重たく大きな機材が乗ることが前提になっているので「軽量」「コンパクト」というのはスペックに相反するため、軽量コンパクトなフルードビデオ雲台自体が少ないんです。
そんな中にあって、Leofotoのフルードビデオ雲台BV-10は「軽量」「コンパクト」そして「安価」という三拍子揃った希少なビデオ雲台でもあります。
上記の写真を見ていただくと判る通り、両手に収まるくらいの大きさでビデオ雲台としては、かなりコンパクトです。
もちろん上にも書いたように、ミラーレスカメラなど軽微なカメラシステム専用のビデオ雲台と思われるので、重たい機材を載せる場合には別のビデオ雲台を検討した方が良いと思います。
アルカスイス互換のビデオ雲台
アルカスイス互換のビデオ雲台は選択肢が少ない
カメラ機材をアルカスイス互換にすると、カメラの着脱が便利になるので、手持ちの機材をアルカスイス互換で統一している人も多いかと思います。
僕自身も基本的には手持ちのカメラ機材は全てアルカスイス互換で統一しているので、ビデオ雲台もアルカスイス互換で考えたいと思うのですが、ビデオ雲台の場合は少し事情が違ってきます。
アルカスイス互換のビデオ雲台は中国のよく分からないメーカーではチラホラ見かけるようになっていますが、それを除くとRRSのビデオ雲台くらいで、アルカスイス互換のビデオ雲台を探すと、本当に選択肢が限られるのです。
なので、ビデオ雲台をアルカスイス化するためには、スライドプレートにアルカスイス互換のクランプを取り付けたりするという、ナンセンスな方法を取るしかなかったりするのです。
どうしてもアルカスイス互換にこだわるのであれば「RRSのビデオ雲台を使えば良い」って話になりますが、けして安くはないので、アルカスイス互換への強いこだわりがあり、RRSのファンでもなければ、なかなか手が出るものではないと思います。
Leofotoのフルードビデオ雲台BV-10はアルカスイス互換
そんな数少ないアルカスイス互換のビデオ雲台がLeofotoの BV-10だったりするのです。
「アルカスイス互換」「軽量」「コンパクト」「安価」という条件に絞ると、選択肢は必然的にLeofotoのビデオ雲台BV-10以外には無いんじゃないかと思います。
ちなみにBV-10には品番の末尾にMの付いたBV-10Mというものがあります。こちらはManfrottoのプレートと互換性のあるモデルなので、購入時は注意してください。(Manfrottoのプレートはアルカスイスとの互換性はありません。)
Leofoto製品と言える製品
BV-10はLeofotoの製品と言える製品だと思います。
意味が分からないと思いますが、Leofotoの初期の頃の製品はOEMの製品も多く混じっていて、品質的にも旧来の中華メーカーレベルの残念な製品も多々ありました。
途中からLeofotoが高品質な方向へシフトしたようで、現在では徐々にそのような粗悪な製品はLeofotoのラインナップから消えつつありますが今でも細かく見ていくと旧製品が残っていたります。そして現行品の品質に期待してこの旧製品を購入すると非常にガッカリさせられることになります。
要するに現在のLeofotoの製品とは異なる品質の製品も初期の頃は多かったのです。
個人的な印象ではありますが、Leofotoの製品は2020年5月現在で三段階くらいで品質が変わっています。
第一期はアルミ三脚を扱っていたころで旧中華メーカーレベル
第二期はそこそこ良い品質が出始めた頃(マウンテンシリーズなどの三脚)
第三期は現在の品質(レンジャーシリーズやサミットシリーズ、雲台(LHシリーズ)など
上記のような感じで、少しずつ品質やデザインが向上している感じで、Leofoto自体も第三期の製品を推すようになっていて、公式ページでもイメージ写真のほとんどは第三期の製品を扱ったものになっています。
第三期の製品は価格で考えると、とても品質が良いのです。でビデオ雲台のBV-10はと言えば、それらの第三期の製品と比べると、少し質感が悪いように感じたりする点もあるため、BV-10の品質については「第二期くらいの製品かなぁ」という印象があったりします。
しかし、公式ページでも現行品とBV-10を組み合わせた写真が多々見られるので、第三期の製品なのかなという気もします。
そんなわけで、Leofoto的にもそれなりに品質にも自信があるものと思いますし、現行のLeofoto製品の品質を求めて購入してもガッカリすることもないかと思います。
ただし、値段が値段なので、大きな期待をしてはいけません。
ちなみに、第一期、第二期、第三期などというのは、僕が勝手に感じて区別しているだけで、公式に言われているようなものであはりません。
Leofotoのフルードビデオ雲台 BV-10使用レビュー
見た目
Leofotoのビデオ雲台左側にはLeofotoのロゴと、拡張用の1/4"ネジ穴、トルク調整用のツマミがあります。
右側には品番であるBV-10の文字が中央部分に刻印されています。
全く写真映えしないですね。
Sachtlerほどのカッコ良さは求めないにしても、このダサいフォントと全くデザインを考えていない刻印は、中国メーカーの悪いところが出たというような感じですね。非常にカッコ悪いです。
こういう部分で「現行品とはちょっと違うなぁ」と感じたりするのです。
パンハンドル部分
パンハンドルは着脱可能で左右どちらでも取り付けられます。もちろん角度調整もできるようになっていますし、取り外しも可能です。
パンハンドル部分も、少し品質に疑問を思う部分だったりします。一昔前に中華製品に見られるような質感ですね。
個人的にはこういう部分までしっかりとこだわって欲しいという気持ちがあるのですが、低価格を実現するためには、落とせるところで落とさないと難しいとも思われるので、妥協点としてはしょうがない部分でもあると思います。
カメラの取り付けは多目的スライドプレートを使うと便利
雲台はアルカスイス互換でプレートも付属していますが、僕はあえてLeofotoの多目的スライドプレートを使用しています。
というのも、ビデオ雲台のプレートの溝は前後にスライドするようになっているので、L字プレートを装備したカメラを直接取り付けようと思うとL自プレートの下に別のプレートを前後方向に取り付けなければ、カメラが横を向いてしまうことになります。
それではせっかくのL字プレートが台無しになってしまうので、それを避けるために、Leofotoの多目的スライドプレートを使用しているというわけです。
上記の写真ではLeofotoの多目的スライドプレートのNR-200を使用しています。多目的スライドプレートの端はアルカスイス互換のクランプになっているので、L字プレートを装着した状態でカメラを正面に向けてセットできるようになるのです。
トルク調整
軽い機材などだと、カメラを傾けても油圧の力で元の位置に戻されてしまうので、本体側面に備わったトルク調整のツマミを使用してトルクを調整します。
いろいろな角度に傾けて、バーから手を離してもカメラが固定される程度にトルクを調整します。調整は無段階調整になります。
本格的なビデオ雲台のように細かい調整はできないので、ザックリとした調整になるのと、ノブで締め付ける方式のため、使用しているうちに緩むこともあるかと思いますが、値段的にもこんなもんでしょうね。
カウンターバランスとトルク調整
一応、カウンターバランスとトルク調整の方法の動画を作ってみました。こうすることで、パンニングの後にカメラを「スッ」と停止させられるようになります。
パンニング(横振り)が重い?
チルトに対して、パンニングがやや重く感じます。BV-10の購入者のレビューを見てもパンニングが重いというコメントが散見されるようです。
重さに関してはなめらかな動きを実現させるためにはある程度必要ではあるのと、好みの問題でもあるので正解が無い部分だとは思います。
しかしながら、左回転させようと思うと、パンニングする前に雲台を三脚にとりつけている土台の三脚ネジの方が緩んでしまうようなことが度々あります。ちなみに右回転させる場合にはネジを締め込む方向なので問題は出ません。
土台に雲台固定用のイモネジなどで雲台を固定してしまえるような機構が備わっていれば、それで固定することで問題は解決しますが、イモネジ固定の機構がないハーフボウルレベラーなどを使用している場合には、ストレスを感じる原因になってしまいます。
パンニングベースを追加して対処しました
僕はビデオ雲台の取り付けマウントとしてLeofotoのハーフボウルレベラーYB-75LCを使用しています。アルカスイス互換なので、そのままBV-10を取り付けできないため、アルカスイス-3/8"ネジの変換プレートを使用する必要があります。
その変換プレートをパンニングベースにすることにしました。
つまり、BV-10のパンニングはネジを締めて固定して殺してしまい、変換プレートでパンニングを代替えさせるというわけです。こうすることでアルカスイス化とともに、重いと感じていたパンニングを軽くすることができました。(逆に軽くなりすぎた感じもありますが動かないよりはマシなのと、好みのお話というところで良いと思います。)
ちなみに使用したアルカスイス化できるパンニングプレートはNeewerの製品で、薄型でBV-10のベースと同じ60mm径なので、違和感なく組み合わせることができました。
ちなみにビデオ雲台には水平を調整する機構がないので、レベリングベースは必須です。僕はシステマチック三脚のLeofotoのサミットシリーズの三脚を使用しているので、ハーフボウルレベラーを使用していますが、レンジャーシリーズなどの通常のマウントであれば、LeofotoのLB-60Nなどのレベリングベースとセットで使用すると良いと思います。
Leofoto フルードビデオ雲台 BV-10まとめ
Leofotoのビデオ雲台BV-10を使用してみた評価としては、まぁ価格相応の機能と品質かなと思います。要するにちゃんと動画を撮りたい人であればもう少しお金を掛けてでも本格的なビデオ雲台を購入すべきかと思います。
逆に言えば、それほど本気で動画を撮影してない人にとっては、本格的なビデオ雲台はどう考えてもオーバースペックなのと予算的にも厳しくなると思うので、Leofotoのフルードビデオ雲台BV-10は良い選択肢になるんじゃなでしょうか。
結論として、僕くらいの「ちょっとした動画を撮りたい」というような用途であれば、十分使えるビデオ雲台だと思うので、個人的には良い買い物をしたなと思います。
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